コラム

等身大ラブドールは、鑑賞や撮影などに使える大切なパートナーです。
しかし、正しい方法で保管しなければ、形崩れや劣化、色移りなどのトラブルが起こりやすくなります。
特に初心者は、購入後の保管方法を誤ってしまい、数か月で状態が悪くなるケースも少なくありません。
この記事では、販売・買取の現場での知識をもとに、等身大ラブドールを長持ちさせる保管方法と注意点を解説します。
ラブドールは、品質を保つためにも正しい方法で保管する必要があります。
さまざまな方法がありますが、基本的には以下の方法で保管します。
【ラブドールの正しい保管方法】
お迎えする前に把握しておくと、必要なスペースを確保できるのでおすすめです。
等身大ラブドールをあおむけに寝かせて保管する方法は、最も簡単で初心者におすすめです。
柔らかいマットレスや布団の上に敷き布を置き、関節に無理がかからないよう自然な姿勢にします。
両腕や脚はやや広げ、関節部分の圧迫を避けるのがポイントです。
長時間同じ面を下にすると凹みができるため、時々寝かせる向きを変えたり、薄いタオルを挟んで圧を分散させましょう。
また、服を着せたままにすると色移りの原因になるので、保管時は白や淡色の布で全身を包むと安心です。
床に直置きは湿気やホコリの影響を受けやすいため避け、必ず清潔な台や布団の上で保管してください。
【メリット】
【デメリット】
専用フックを使い、等身大ラブドールを吊るして保管する方法は、形崩れ防止に効果的です。
基本的には、身体のジョイント部分に専用のフックをひっかけて、クローゼットやスタンドに掛ける形で保管します。
このとき、金具の取り付け位置は必ずメーカー推奨の場所にし、過度な負荷がかからないように調整しましょう。
吊るすことで全体にかかる圧力が分散され、凹みや変形のリスクが減ります。
また、通気性が良く、湿気やカビの予防にもつながります。
ただし、吊り下げ中に強い揺れや衝撃が加わると関節や固定部分が傷む可能性があるため、安定した場所を選びましょう。
カバーをかける場合は通気性のある素材を使い、湿度のこもりを防ぐことが大切です。
【メリット】
【デメリット】
等身大ラブドールを立たせて保管する場合は、必ずスタンドや壁面サポートを使い、転倒防止を行いましょう。
自立できるモデルであっても、長時間の自立は足裏や関節に負荷が集中し、変形や破損の原因になります。
専用の立位スタンドを利用すると、足裏を保護しつつ安定した姿勢で保管できます。
また、壁や棚に軽くもたれかけさせると重心が安定しやすいです。
床面には柔らかいマットやゴムシートを敷き、滑りや傷防止を行うのがおすすめです。
この方法は展示やディスプレイを兼ねられるため、所有している満足感も高まりますが、長期保管には不向きな場合もあります。
定期的に姿勢を変えて負担を分散させると、より長持ちします。
【メリット】
【デメリット】
座らせて保管する方法は、立たせるよりも安定性が高く、転倒リスクが少ないのが特徴です。
椅子やソファに深く腰掛けさせ、背もたれにしっかり寄りかからせると姿勢が安定します。
関節への負担も分散されやすく、比較的長期間の保管にも向いています。
ただし、座面や背もたれに体重がかかり続けるため、布やクッションを敷いて圧を和らげることが重要です。
また、座らせたまま長期間同じ姿勢にしていると、太ももや背中に凹みが生じる可能性があります。
数週間ごとに姿勢を変えたり、立位や寝かせ保管と組み合わせて管理することで、より良い状態を保てます。
衣類は淡色・色移りしにくい素材を選び、通気性を確保しましょう。
【メリット】
【デメリット】
ラブドールを長く使うためにも、保管方法はしっかり把握しておきたいところです。
仮に、正しい方法で保管しなかった場合、以下のようなことが起きます。
【ラブドールを正しい方法で保管しないと起きること】
少し手間かもしれませんが、このようなリスクを把握したうえでお迎えすることが大切です。
等身大ラブドールはTPEやシリコンなど柔らかい素材でできているため、間違った方法で保管すると変形の原因になります。
特に重みが一点に集中すると、凹みや歪みが固定され、元に戻らなくなることも。
また、関節部分や骨格のジョイントは過度な負荷や無理な姿勢で保管すると破損の原因になるので注意しましょう。
とくに、吊り下げ時の首部分や立位時の足裏など、負荷がかかる箇所はとくに注意しなければなりません。
変形や破損は見た目だけでなく可動域にも影響し、ポーズ変更や着せ替えがしにくくなることもあります。
適切な姿勢と圧力分散を意識することで、長期的に美しい状態を保てます。
ラブドールは紫外線や湿気、温度変化に弱く、保管環境が悪いと劣化が進みます。
そのほか、直射日光が当たる場所では黄ばみや色あせが起こりやすく、夏場の高温多湿環境ではベタつきやカビの原因になります。
特にTPE素材は油分が抜けやすく、ひび割れや硬化につながるため注意が必要です。
劣化が進むと見た目の美しさや肌触りが損なわれ、修復には手間や費用がかかります。
防ぐためには、通気性の良い場所で温湿度管理を行い、直射日光を避けることが大切です。
また、定期的にパウダーを塗布することで、表面を保護し長持ちさせられます。
濃い色や化学染料を使用した衣類や布と長時間接触すると、ラブドールの肌に色が移ることがあります。
TPE素材は染料を吸収しやすく、一度色移りすると完全に落とすのが難しいのが特徴です。
そのため、衣装や布団カバー、クッションなどの色物との接触にも注意が必要です。
また、色移りは見た目の印象を大きく損ない、中古買取時の査定額にも影響します。
防止するには、保管時に白や淡色の布で全身を包む、または色移り防止カバーを使用するのが効果的です。
着せ替えを楽しむ場合も、濃色衣類は短時間の使用にとどめ、保管前には必ず脱がせましょう。
関連記事:ラブドールが色移りした時の対処法を紹介!注意点はある?
ラブドールを保管・収納する場合は、いくつか注意点もあります。
【ラブドールを保管・収納する際の注意点】
何かと制限がありますが、愛用するためには必要なことなので、それぞれ把握しておきましょう。
ラブドールは、シリコン・TPEで作られているものが多く、直射日光に弱いです。
TPE素材は紫外線で油分が失われ、表面が乾燥してひび割れやベタつきが発生します。
シリコンも長時間の日射で黄変や色あせを起こし、質感が損なわれます。
さらに、窓際は日光による温度上昇が著しく、内部骨格や接着部分の劣化を早めます。
そのため、保管時は必ずカーテンや遮光フィルムで日光を遮断し、光の当たらない場所を選びましょう。
撮影や着せ替えで明るい場所を使用する場合も、使用後は速やかに暗所に戻すことが重要です。
また、ストールや布で覆う際は通気性の高い白色系を選ぶと、紫外線カットと色移り防止の両方に有効です。
日照角度が変わる季節の変わり目には、太陽光の差し込み具合も確認してください。
UVカット機能付きの収納カバーやケースを使うと、さらに安全性が高まります。
高温多湿な場所での保管は、ラブドールの寿命を大きく縮める原因になります。
とくに、以下のような場所は高温多湿になりやすいため、注意が必要です。
【保管場所で注意したいところ】
いずれも温度が上がりやすく、シリコンやTPE素材が柔らかくなり変形したり、ベタつきが出やすくなります。
また、湿度が高い環境ではカビや雑菌が発生しやすく、内部や衣服に付着して衛生面でも悪影響を与えます。
さらに、長期間その状態で放置すると、関節部の金属パーツが錆びるリスクもあります。
保管時は室温20〜25度、湿度40〜60%程度の安定した環境を目安にし、除湿機やエアコンを活用すると効果的です。
また、湿気のこもりやすい収納スペースを使う場合は、必ず除湿剤を設置し、定期的に入れ替えることが重要です。
快適な環境を整えることで、美しい状態を長く保ち、いつでも快適に使用できる状態を維持できます。
化学繊維や色移りしやすい布は、ラブドールの素材にとって大きなリスクとなります。
化学繊維は静電気を帯びやすく、細かい繊維がドールの肌に付着しやすいため、見た目や質感を損ねる原因になります。
また、色移りしやすい布は特に危険で、長時間接触するとインクや染料がドールの表面に浸透し、シミや変色を引き起こす恐れも。
一度色が移ってしまうと完全に除去するのは難しく、修復にも手間と費用がかかります。
そのため、保管時には白や淡い色の綿素材の布を使用し、暗色系の服や化学繊維製品とは直接触れさせないことが大切です。
特に新しい衣類は染料が落ちやすいため、必ず一度洗濯してから着用させましょう。
さらに、長期保管する場合は専用の保護カバーを使うと安心です。
こうした配慮を徹底することで、美しい状態を長く維持できます。
シリコンパウダーやタルクパウダーは、ドールなどの表面を保護するうえで非常に効果的なケア用品です。
これらのパウダーを定期的に使用することで、素材表面のべたつきやほこりの付着を防ぎ、なめらかな質感を長く維持できます。
特にTPE製品は経年劣化により油分が浮き出やすく、そのまま放置すると埃が固着したり変色したりする原因になることも。
パウダーを薄くまんべんなく塗布することで、表面に保護膜が形成され、摩擦や色移りのリスクも軽減されます。
使用時は柔らかいブラシや清潔な布を使って少量を均一に広げるのがポイントです。
過剰に塗布すると粉が白く残って見栄えを損なうため、必要最小限を心がけましょう。
また、ケアの頻度は使用状況や保管環境によって異なりますが、3か月から半年に一度を目安に行うと効果的です。
パウダーを塗る前には必ず表面の汚れを取り除き、清潔な状態で作業することも忘れてはいけません。
この習慣を取り入れることで、大切なコレクションを長期間美しく保ち、劣化を大幅に遅らせることができます。
関連記事:ラブドールのお手入れ方法を徹底解説!注意点やコツはある?
劣化を防ぐためにも、ラブドールは床に置かないことが鉄則です。
長時間床に接しているとドールの体重が一点に集中し、素材が歪んだり凹んだりする原因になります。
特にTPE素材は柔らかく形が変わりやすいため、わずかな圧力でも変形が残ってしまうことがあります。
また、床は意外と湿気がこもりやすく、カビや悪臭の原因になることも。
加えてホコリや髪の毛、ペットの毛なども付きやすく、清掃の手間が増えるでしょう。
さらに、人や物がぶつかって転倒させてしまう危険もあり、関節や塗装の破損につながる可能性があります。
保管時は必ずスタンドや吊り下げフック、または専用の収納ケースを利用し、ドール全体の荷重が分散される状態を保つことが重要です。
もし立たせる場合でも、長時間同じ姿勢は避け、時々位置を変えて負荷を減らしましょう。
ラブドールを長く美しい状態で維持するためには、日常の扱い方から保管環境まで配慮が必要です。
高温多湿や直射日光を避け、化学繊維や色移りしやすい布との接触も控えることで、変色や劣化を防げます。
さらに、定期的なシリコンパウダーやタルクパウダーでの表面保護、適切な姿勢での保管、そして床置きを避けることが重要です。
こうした基本的なポイントを守ることで、素材の質感や形状を長期間保ち、愛着あるパートナーとして長く楽しめます。
この記事の監修者
伊藤 仁哉Jinya Ito
株式会社RIM′S(R DOLL)
代表取締役
運営責任者
<略歴>
2020年ラブドール専門販売店「R DOLL」を設立。
ラブドールの販売店を運営し6年、6000体以上のラブドール販売を行なってきた。
2024年1月KBC九州朝日放送「バラエティのB」にて、ラブドールの現地査定役として番組に出演
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